[国内金融情勢]

「日銀物価見通し0.8%に引き下げ」(11/1) ***

日銀は金融政策決定会合を開き、2017年の物価上昇率の見通しを従来の1.1%から0.8%に引き下げた。企業が顧客離れを警戒し値上げに慎重で、物価の伸びが鈍いため、今後人件費の上昇などにより物価上昇の勢いが強まると判断し、物価上昇率2%の目標を達成する時期は19年度ごろを維持した。早期実現に向け短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に抑える現行の金融緩和策の据え置きを賛成多数で決めた。

黒田総裁は賃金や物価の伸びが鈍いと指摘し、デフレ心理の解消につながる賃上げを求めた。安倍首相も「3%の賃上げ実現に期待する」と述べており、政府と日銀がデフレ脱却に向け産業界に要請した形となった。

日銀は31日公表した展望リポートで、17年度の物価上昇率を引き下げ、18年度も1.4%と小幅に下方修正した。19年度は従来どおり1.8%を見込んだ。

好調な海外経済を受け、大企業製造業の景況感は10年ぶりの高水準で、日経平均株価も2万2千円台を回復した。日銀は株価下落による企業心理の悪化を防ぐために年6兆円の上場投資信託(ETF)買い入れを行っているが、株式市場をゆがめているとの指摘もある。黒田総裁は、悪影響を及ぼしてはいないとの認識を示し、市場動向により増減はあるが、今後も買い入れていくと表明した(参考文献:信濃毎日新聞)。