[欧州連合経済]

「欧州中銀利下げ打ち切り」(6/9) ***

欧州中央銀行(ECB)は、金融政策の運営指針を見直し、追加利下げを打ち切る方針を決めた。ユーロ圏の景気拡大に対応した。マイナス金利を導入した2014年6月以降、本格化したECBの緩和策は転機を迎えた。主要先進国では米国がすでに利上げに動き、異例の緩和措置から脱するめどが立たない日銀の存在が際立ってきた。

ドラギ総裁は指針見直しの理由について「景気拡大で物価が持続的に下がるデフレのリスクがなくなったからだ」と語った。また、指針について「長期にわたり政策金利を今の水準に据え置く」とした。これまでは、今の水準か、それよりも低い水準に据え置くと説明していた。国債などの資産を買って資金を供給する量的緩和に関しては「規模、期間の両方またはいずれかの面で拡大する用意がある」との指針を変えなかった。現在は17年末を期限に月600億ユーロ(約7兆4千億円)の資産を購入している。

5月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比で1.4%上がった。4月はECBの物価目標である2%弱と同程度であったので5月は大幅に鈍化した。

ECBは、17年の実質経済成長率の予想を3月時点の1.8%から1.9%に引き上げた半面、物価上昇率の予想を1.7%から1.5%に下方修正した。マイナス金利の解消や量的緩和縮小といった緩和策からの出口に至るには時間がかかりそうだ(参考文献:信濃毎日新聞)。