[アメリカ経済]
(1)トランプ時代、未知へ船出(1/14) ***
既存政治の打破を掲げ支持を広げたトランプ新大統領が就任した。国の進路を転換し偉大な国家の復活を約束するトランプ氏だが、差別的な言動や急激な政策変更に、憂慮を深める国民があまりに多い。
全米各地で14日、不法移民の権利を訴えるデモが起きた。トランプ氏は、メキシコ国境に壁を造って流入を阻止すると主張する。不法移民を強制退去させる作業チームを立ち上げる構えだ。不法移民の米国滞在を一定の条件で容認したオバマ大統領の救済措置も、撤回される可能性がある。
少数派を排斥するようなトランプ氏の主張は、既に米社会に影響を与えている。若者を対象に行った調査によると、7割がヒスパニック(中南米系)ら少数派への嫌がらせを目撃したと回答した。トランプ氏の勝利で急増したという。
気候変動問題はでっち上げと主張し、環境保護局(EPA)長官に指名したのはブルイット氏だ。火力発電所のCO2排出量を大幅に削減するオバマ政権の規制を違法と主張するなど、EPAの環境対策に10回以上も訴訟を起こしてきた人物だ。複数の団体が指名承認拒否を議会に呼びかける運動を展開中だ。
特に懸念が深まっているのが、ツイッターで核戦力の拡大を示唆したトランプ氏が「核のボタン」を握ることだ。
オバマ氏は最後の記者会見で、民主主義には報道の自由が必要と力説した。対照的にトランプ氏は、不必要な情報を伝えるメディアを敵視した。権力の監視役としての報道機関が試練を迎えている(参考文献:信濃毎日新聞)。