[国内景気動向]

「デフレいまだ克服できず」(12/3) ***

2013年4月、黒田日銀総裁は、就任から2週間で大規模な金融緩和の実施を決めた。市中から国債を購入することで、出回るお金の総額を2年間で2倍にするという過去に例を見ないサプライズであった。日銀がこれを発表すると、景気回復への期待が一気に高まり、東京株式市場では買い注文が殺到し。日経平均株価は跳ね上がり当日に500円を超える上昇であった。円相場は対ドルで2円以上下落した。威力の大きさは黒田バズーカの異名をとった。市場では、黒田総裁がデフレを解消してくれるだろうと期待が膨らんだ。

黒田日銀の緩和政策は、企業業績の回復と株高をもたらした。だが企業は利益を内部留保にまわし、賃金は上がらず、物価もプラス圏をどうにか維持している状況だ。

来年4月が任期の黒田総裁を巡り、市場で再任論が高まっている。来年9月の総裁選で3選を期し、憲法改正と消費税増税を目指す安倍氏にとり景気の腰折れは最大のリスクであり、金融緩和の継続がよりどころとなる。アベノミクスの生みの親の一人、浜田内閣官房参与も「うまくいっている戦法を変える必要はない」と再任を支持する。

体力を回復した企業が利益を賃金や投資に振り向けるように導けるか。脱デフレに向け、安部政権はいよいよ真価を問われている(参考文献:信濃毎日新聞)。