[国内景気動向]

(1)消費増税語った岩田日銀副総裁―高橋洋一(6/3)***

日銀の岩田副総裁が5月27日の講演で、インフレ率が低下した要因の一つとして、消費税率の引き上げを挙げた。同講演では、かなり率直に日銀の政策とその効果を説明している。13年4月に量的・質的金融緩和を導入し、目標の実現時期は「2年程度の期限を念頭において、出来るだけ早期に」と、物価安定目標の早期実現に向けたコミットメントを、これまでにない強い形で示したことを強調した。ただし、日本銀行は現在、インフレ率が2%程度に達する時期が16年度前半ごろと予想しており、従来の想定から多少あとずれしていることも述べている。

その理由は2つあるという。1つは消費増税による需要減少だ。生鮮食品を除いた消費者物価の前年比(いわゆるコアインフレ率)は、量的・質的金融緩和の直前の13年3月に0.5%減のボトムをつけた後、14年4月の1.5%増(消費税率引き上げの直接的な影響を除く)までは順調な上昇傾向だった。しかし、14年4月の消費税率引き上げによる需要の下押しで、インフレ率が低下したとしている。

もう一つの要因は、原油価格の下落だ。作夏以降の原油価格の下落によりインフレ率が低下している。ただし、原油価格の下落は、長期的には総需要の増加により物価を押し上げる方向にも作用するので、インフレ率低下はその押上効果が出るまでの短期的な減少であることも指摘している。

今後の物価の基調を見るためには、経済全体の総需要と供給能力の差である需給ギャップなどの要因を考慮する必要があると述べた。そして、それは財政政策による公的有効需要、金融政策による消費、投資、輸出入などの民間有効需要、賃金や価格の決まり方による生産サイドなどを通じて決まるのであろう(参考文献:夕刊フジ)。