[国際金融情勢]

(1)欧州中銀、量的金融緩和開始(3/10) ***

欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏内の国債を買い取って資金を供給する量的金融緩和を始めた。ECBがこれを行うのは初めてだ。原油安を受け圏内は物価が下落しており、デフレを防ぎ景気を下支えするのが狙いだ。この日の金融市場では、独仏伊などの国債が買われ、利回りが低下した。

ECBは国債を軸に月600億ユーロ(約7兆8千億円)の資産を購入し、少なくとも16年9月まで続ける。ただ、欧州連合の金融支援が決まったギリシャの国債は当面対象外となる。

圏内では1月の量的緩和決定を受け、既に株高や通貨安、国債相場の上昇(利回りは低下)が進んでいる。先週ドイツの株価指数が史上最高値を記録し、ユーロは対ドルで約11年半ぶりの安値をつけた。イタリアやスペインの10年もの国債の利回りは1%台と米国債より低い。

通貨安や利回り低下は量的緩和を実施済みの日本でも起きたが、デフレから抜け出せていない。企業や個人が資金を借りて投資や消費を増やし、需要拡大や物価上昇につなげることが課題だ。

ユーロ圏では2月の消費者物価指数が0.3%下落し、デフレ懸念が増大している(参考文献:信濃毎日新聞)。