［国内景気動向］

２０１４年１０〜１２月期の実質GDP速報値は、消費税増税後、初のプラスとなった。しかし、回復は都市部の大企業中心で、地方の中小企業まで波及していない。消費の現場でも、株高で潤う富裕層と、物価上昇の打撃が大きい子育て世代や低所得層との隔たりが目立つ。

甘利経済再生担当相は、消費税再増税の延期や、賃上げへの努力で合意した政労使会議を引き合いに「消費者心理は着実に改善している」と強調した。しかし、個人消費は直近の指標でも改善が鈍い。富裕層は腕時計など高額の宝飾品を購入するが、富裕層以外の消費が戻っていないとされ、消費の現場は二分されつつある。

都市部と地方の格差もある。地方ではアベノミクスの効果が行き渡っておらず、回復が遅れている。東京や大阪では客足が戻りつつあるが、地方では前年実績に届いていない。

今後の消費回復の鍵を握る春闘は、経団連が２年連続でベースアップを容認し、賃上げ機運は高まる。ただ、原材料価格などの上昇に苦しむ中小企業の多くは、賃上げに慎重な姿勢を崩していない。日本商工会議所の調査では、１５年度に賃金を引き上げる予定と答えた中小企業は３３．５％にとどまり、昨年１月の調査より６．４％減少した（参考文献：信濃毎日新聞）。