[株価]

(1)熱狂なき官製バブル(4/11) ***

平均株価が約15年ぶりに一時、2万円の大台に乗せた。政権はアベノミクスの成果を誇示し、市場では強気論が勢いづく。だが政府や日銀が振付けた官製バブルに個人投資家は踊らず、熱気は乏しい。

野田前首相が衆院解散に言及し、「アベノミクス相場」が始まったのは、12年11月14日だった。その終値8664円と比べると、2.3倍の水準にまで上昇した。株高はこのところ加速している。平均株価は1月に比べ3000円以上も上昇した。日米に続き欧州中央銀行(ECB)も量的金融緩和を決めたのをきっかけに、マネーがさらに流れ込むとの見方が広がったためだ。さらに、約四半世紀前につけた最高値3万8915円を超えるとの予想はいまや珍しくない。

相場の主役は、海外投資家だ。欧米に比べ日本企業の業績改善ピッチが早いとの分析から、積極的に株を買っている。海外勢に買い進むことへの安心感をもたらしているのが、その巨大さから市場でクジラの隠語で呼ばれる官製資金だ。厚生年金などの130兆円の運用は昨年、国内株式投資の運用割合を倍の25%に変更し、公務員などの共済も追随した。さらに、日銀が異次元緩和の一環として年3兆円の上場投資信託(ETF)を吸い上げる。年7〜8兆円の規模の資金が株式に流れると試算され、クジラの存在が、株価を下がりにくくしているといえる(参考文献:信濃毎日新聞)。