[金融情勢]
(1)日銀、大規模緩和を継続(5/22) ***
日銀は、金融政策決定会合を開き、昨年4月に導入した大規模な金融緩和策の継続を全員一致で決めた。国内景気の判断は、駆け込み需要の反動が見られるが「緩やかな回復を続けている」として、8ヶ月連続で判断を据え置いた。設備投資は「緩やかに増加している」として判断を引き上げた。
黒田総裁は、建設業や飲食業で広がる人手不足に触れ「非常に重要な課題で、制約を打破し、好ましい経済成長を遂げる必要がある」と懸念を表明した。政府の成長戦略や企業の積極的な設備投資に期待を表明した。金融緩和や財政支出を背景に需要が高まり企業活動が活発になり「水面下に隠れていた問題が顕在化してきた」と指摘した。日本経済が中長期的に成長を維持するためには女性の労働参加を促し、規制改革で企業の生産性を高める必要があると強調した。
4月の消費税導入後の個人消費に関しては、雇用・所得環境が改善しており、消費の基調的な底堅さは維持されると述べ、今夏以降に回復するとした従来の見方を繰り返した。
追加金融緩和への市場の期待が後退し、円安株高傾向が一服しているが、黒田総裁は「株高の方向が変わったとは感じていない。円高になる理由もない」と述べた。ただ金融政策は、株や為替とリンクして考えるものではないとも強調した。
日銀は会合後に出す公表文から「15年近く続いたデフレ」との文言を削除した。黒田総裁は特別のことではないと説明し、デフレから脱却したかどうかの判断は避けた(参考文献:信濃毎日新聞)。