[国内景気動向]

(1)日銀6月短観、景況感悪化(7/2)

日銀が発表した6月の企業短期経済観測調査(略して短観―重要30用語参照)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業製造業でプラス12となり、前月3月調査から5ポイント下落した。消費税増税の影響は総じて限定的だが、一部業種で景況感が大きく悪化し、先行きも慎重に見ていることを示した。景気はこれまで順調に回復しているが、伸び悩む輸出や個人消費の動向に懸念も残っている。

最近の景気回復をけん引してきたのは、設備投資と個人消費だ。今回の短観でも、大企業全産業の設備投資計画は前回調査から大幅に上方修正された。ただ、5月の貿易統計によると、設備投資の増減を左右する輸出は前年同月比2.7%減の5兆6076億円と15ヶ月ぶりに減少した。輸出の回復が遅れれば、設備投資が失速し成長が鈍化するリスクもある。

一方、消費関連業種の景況感は小売や自動車を中心に大幅に悪化した。市場では個人消費は今後も堅調に推移するとの見方が多いが、増税で個人の実質所得は減少しており、家計が節約モードに変わる可能性も否定できない。

年末には再増税の判断も控え、今年後半は日本経済の先行きを占う重要な局面となる。リスクの顕在化を防ぎ、デフレ脱却を確実にするためには、政府、日銀は細心の注意を払って経済、金融政策の運営に臨む必要がある(参考文献:信濃毎日新聞)。

[6月の日銀短観大企業DI]
今回 (変化幅) 先行き   
製造業 12 −5 15
非製造業 19 −5 19
全産業 16 −5 17
*変化幅は14年3月の前回調査比