［自動車産業］

トヨタ自動車は、究極のエコカーとされ、水素と酸素の化学反応で発電しモーターを動かして走る「燃料電池車」の一般向け販売を、日本で２０１４年度内に始めると発表した。セダンタイプで価格は７００万程度とする。ホンダが１５年に日米で燃料電池車を発売する方針だが、トヨタの市場投入は世界の大手メーカーの中で初めてとなる公算が大きい。

これまで、燃料電池車の販売は官公庁や法人向けリースに限られていた。トヨタが市販する燃料電池車は、エネルギー源の水素を３分程度で補充でき、約７００キロの走行を可能とした。１５年夏をめどに米国や欧州でも売り出す方針だ。価格は２５年ごろに量産効果やコスト削減で、同クラスのハイブリッド車並みの車両価格に抑えたい考えだ。

日本では当面、燃料電池車に水素を供給する水素ステーションの整備が予定される大都市圏を中心に販売する。経済産業省も水素ステーション１００ヵ所程度を１５年度中に確保する目標を掲げており、官民連携で燃料電池車の普及促進を目指す。トヨタの加藤副社長は「燃料電池車などエコカーは普及してこそ環境への貢献となる」と強調した。

燃料電池車の課題は、車両価格の抑制と水素ステーションのインフラ整備だ。トヨタの加藤常務は「当初は採算より普及を優先している」と赤字も想定していることを示唆した。

燃料電池車は巨額の開発費で１台の価格がかつて１億円ともいわれたが、自動車各社は高度な技術力や量産体制の整備などでコスト削減を進め、１千万円を切る価格で販売する見通しだ（参考文献：信濃毎日新聞）。