[国際経済]
(1)G20目標「2%超」見えぬ成長(2/24) ***
23日閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、G20の成長率を5年で2%超引き上げる数値目標の導入を決めた。それぞれの課題に追われる各国が、さらに成長率を高めることができるのか実現には疑問符がつく。
目標の根拠になったのが、国際通貨基金(IMF)がG20向けに公表したレポートだ。生産・労働市場の改革やインフラ投資の促進により、成長率は年0.5%程度(5年で2%超)の積み上げが出来るとしている。
G20の経済規模は世界経済全体の8割超を占めているとされる。IMFは18年の世界の成長率を4%強と見ており、2%強の底上げがあれば成長率も6%程度に高まる。だが、レポートで示された対策を各国が実行するのは、そう簡単ではない。市場改革でIMFが提案したのは、中国のサービス産業のように保護された分野の自由化や、欧州で雇用の規制を緩和することだ。既得権益を握る層から反発が予想される。
先進国経済も心もとない。債務危機を経験した欧州や、債務上限問題で議会の対立が続いた米国も、財政出動による景気刺激策を打つ余裕はない。
11月に豪州で開かれる首脳会議(サミット)までに、各国は成長率の引き上げの行動計画を示すことが求められる。ただ、G20は10年に財政健全化の共通目標を定めたが、守れない国が相次ぎ、結局棚上げされた経緯もある。今回も実効性のある計画を示せなければ、数値目標は掛け声倒れになりかねない(参考文献:信濃毎日新聞)。