[中国経済]

(1)中国、上海に自由貿易試験区、改革・開放第2幕へ(9/30) ***

中国政府は上海市で29日、金融、サービス業や貿易の分野で規制緩和を試行する自由貿易試験区を開設した。外資系企業の進出を促し、経済の構造改革と国際化の起爆剤にする国家プロジェクトだ。経済成長をもたらした改革・開放路線の第2幕になるとの期待が高まっており、主導する李克強首相の実行力が問われる。

アジア太平洋地域ではTPPなど貿易の自由化交渉が活発化しているが、規制が多い中国は流れから取り残される可能性があり、試験区では対外開放の経験を積む意味合いもある。29日の開設式典では高商務相が「世界の経済、貿易の新たな流れに対応して、対外開放を積極的に進めるための重大措置だ」と強調した。

試験区は今後2〜3年で順次改革に取り組み、将来は他の地域にも広げる。預金金利の自由化を目指すほか、株や債券、先物などの取引に関する規制緩和や、国境を越えた人民元取引を進めるなど、抜本的な金融改革に向けた取り組みを進める方針を掲げた。

具体策の第1弾として、18業種で規制を緩和する。金融や医療、娯楽などで外資系企業に許可する業務範囲を広げる。外資系企業がインターネット・プロバイダー事業や、家庭用ゲーム機の販売などをできるようにする。第1陣の進出企業として36社を許可した。マイクロソフトと中国企業の合弁会社や、ポルシェの販売会社、シティバンクの外資系なども含まれた。

以上のことは、中国では、1970年代にはじまった改革・開放路線の口火を切った広東省の経済特区や、2001年の世界貿易機関(WTO)加盟に匹敵する歴史的な節目になると期待されている。

しかし、各業種で国有企業など既得権益層の抵抗もあるとみられる(参考文献:信濃毎日新聞)。