[国内景気]
(1)企業・家計、前向きな循環(9/6) ***
日銀は景気に関し、2008年秋のリーマン・ショック以降、初めて「回復している」という表現を使った。黒田総裁は「企業と家計の両部門で経済の前向きな循環メカニズムが働いている」と説明し、回復への自信をのぞかせた。
今回の判断は、最大の懸案となっている消費税増税に向けた環境が整ったとの日銀の認識を印象づけた。総裁の懸念はむしろ増税を先送りした際に想定される悪影響の方に向いている。
日銀が景気回復に自信を深めた背景には、出遅れていた設備投資や雇用・所得環境の改善を示す経済指標が相次いで発表されたことがある。13年4〜6月期の設備投資は3四半期ぶりにプラス圏に浮上し、7月の失業率も低下して好循環が動き出したことが確認された。日銀幹部は「内需が景気を支えている」と評価する。
海外経済では、銀行を通さない金融取引である「影の銀行(シャドーバンキング)」の拡大で先行きが懸念された中国経済に安定の兆しが見える。欧州経済も下げ止まった可能性が高いとみており、海外経済は全体として次第に持ち直している)と総裁は分析する。
一方、シリア情勢の緊迫化に端を発する原油価格の上昇や、米金融緩和縮小観測を背景にした新興国の通貨下落が、日本経済に悪影響を与える可能性もあり、総裁は「引き続き注意深く見ていく」と警戒感を示した(参考文献:信濃毎日新聞)。