[国内金融情勢]

(1)岩田副総裁、物価目標へ変わらぬ自信―高橋洋一(10/25) ***

岩田日銀副総裁は、中央大学経済研究所創立50周年に招かれ講演を行った。聴講者の多くは中央大の学生であったが、報道関係者も少なくなかった。

岩田副総裁は、日本で早くからインフレ目標の導入を主張してきた。講演でも「金融政策でデフレからインフレに変える力があるというのは少数派だった。20年くらい言っているが、そういう政策は採用されなかった。それが安倍総理に採用された」と、率直に話している。その結果、日銀は現在、2%の物価目標を設定し、量的・質的金融緩和を実施している。そこでの第一の柱は、2%の物価安定目標を2年程度の期間を念頭において早期達成することである。第二の柱は、具体的な行動で示すということである。第一に柱について、講演では「これは後に引けない。就任時に『達成できなければ辞める』といった」と述べている。やはり、2%の物価目標達成についての並々ならぬ決意が表れている。

もちろん、金融政策でデフレを脱却ができるのは、理論的な背景がある。「将来貨幣が増えれば、その貨幣の一部がモノやサービスの購入に向けられるため、インフレ率は上昇するだろう、と予想される」というのが鍵だ。このため、実質金利(=名目金利マイナス予想インフレ率)が低下し、株高や外貨高(円安)などを通じて消費、輸出や設備投資が増加するという、経済学の教科書にもあるような説明が、講演ではなされた。

岩田氏は、2%の物価目標については、海外要因などで達成が困難になれば、追加緩和も辞さないことを示した。物価目標があれば当たり前のことであり、ことさら追加緩和をプッシュしているわけでもないだろう(参考文献:夕刊フジ)。