[中国経済]
(1)中国経済が抱える世界経済危機の要因(10/16) ***
GDPの2倍の規模ともいわれる中国のシャドーバンキング(影の金融)は、米国のサブライムローン問題に続く、世界経済の次の危機になりかねないといわれている。
シャドーバンキングでは、「理財商品」といわれる高利回り商品(年利20〜30%)の金融商品で集めたお金が地方政府に回り、大規模な住宅・不動産や都市開発に充てられた。これらの資金は金融当局の規制の外で野放図に膨張し、全容はつかみ切れていない。理財商品を販売する金融会社は分かっているだけで800社を数え、一説には1万社あるといわれる。
中国が2ケタの高成長の間は、理財商品も20〜30%の高利回りが実現できた。今や経済成長が7%台に低下し、かつ、米国の金融引き締めを契機に中国から資金が流出し、各種の開発案件は頓挫し、金融会社の破たんが相次いでいる。このシャドーバンキングは、日本のバブル期に急膨張し破たんした住宅金融専門会社と酷似している。理財商品を扱う金融会社は地方政府庁舎に事務所を構えるところもあり、実質的に支配しているのは地方政府の役人であり、官僚の腐敗も住専とオーバーラップする。
シャドーバンキングについては、中国の政策当局は来年、一部地方政府の債務不履行(デフォルト)を容認する可能性があるという。地方政府の資金調達事業体が抱える債務は、12年末時点で19兆元(約306兆円)あり、10年比39%増加したと指摘されている。その上で、中央政府は、他のセクターや投資家への見せしめとして、数件のデフォルトを容認する可能性がささやかれている。
国際通貨基金(IMF)は、中国の不動産開発の過熱化による住宅価格高騰はバブルの懸念が高いと指摘した。バブルがはじければ貸し倒れによる損失は最悪300兆円規模に上ると試算した。米ゴールドマン・サックスも8月、バブル崩壊が起きれば、金融部門の貸し倒れは最悪18兆6000億元(約295兆円)に達するとの試算を公表している。両者の試算が近似値であることに驚かされる。
中国政府は、地方政府の資金調達事業体(シャドーバンキング)の債務に関する監査を行っており、11月の経済政策を決定する中央委員会総会で報告されるのではとの見方がある。世界経済の最大のリスクとみられるだけに、その動向が注目される(参考文献:夕刊フジ)。