[国内金融情勢]

(1)大規模金融緩和半年、融資増えず増税に不安も(10/6) ***

日銀が4月に大規模金融緩和を実施して半年になる。黒田総裁は「着実に効果を発揮している」と自賛しているが、企業収益改善や堅調な個人消費を支えてきた円安株高は一服し、ひところの勢いはない。銀行融資は伸び悩み、来年4月の消費税増税による景気腰折れ懸念もあり、課題は山積している。

「地方銀行などでは(企業への貸し出しが増えるなどの)大きな変化が進んでいるようには見えない」と、黒田総裁は一方でいらだちを見せた。日銀は市場に流すお金の量を2年で2倍にする金融政策を続けている。銀行から国債を大量に買い上げ銀行に大量のお金を配り、お金を大量に使えるようになった銀行に企業や個人への貸し出しを増やしてもらう仕組みだ。しかし、日銀の国債保有残高は、3月末に比べ8月末が30.3%増えたのに対し、国内の金融機関の貸し出しは0.2%しか伸びていない。これに関し、日銀の白井審議委員は「企業の資金需要を喚起する施策が必要だ」と政府に対応強化を求めている。しかし、消費税増税で14年4〜6月期の成長率は大きく下がるとの見方が市場では多い。

日銀の選択肢は、2つ考えられる。日銀は来年以降物価上昇目標を先延ばしするか、追加緩和をして購入する国債を返済までの期間がより長いものに変えて長期金利を引き下げるかの選択がある。まさに、正念場はこれからだ(参考文献:信濃毎日新聞)。