[為替相場]
(1)1ドル=100円台、輸入物価に警戒を(5/11) ***
円相場が、4年1か月ぶりに1ドル=100円台を付けた。米国経済の改善傾向により、ドルが買われたのがきっかけである。日本経済にとり居心地のよい為替水準となり、輸入物価の上昇など円安の副作用への目配りが一層重要になってきた。
円安による企業収益の好転を賃上げや雇用拡大につなげ、家計の収入を増やすことが必要だ。景気回復の軌道に乗るのか、政府と日銀の脱デフレ政策は正念場にある。
一段と進んだ円安を単純には喜べない。すでに輸入穀物などの値上がりが食料品に及んでいる。さらに影響が大きいのが、エネルギーコストの上昇だ。電気料金や燃料費の一段のアップは、不可避だ。
円安と同時に株高が進み、明るいムードにはなってきた。一方で、対外的摩擦も懸念材料だ。米国の自動車業界は、日本車の輸入増加に警戒感を示している。日本と競合する輸出製品が多い韓国では、円安が打撃になりつつある。
通貨安は、失業輸出ともいわれる。輸入国の雇用を奪う側面があるからだ。不毛な通貨安競争を招かないような慎重な政策運営が必要になる。英国で始まったG7でも、大規模な金融緩和が円安誘導とみなされないように、政府と日銀は各国への説明を尽くしてほしい(参考文献:信濃毎日新聞)。