[金融情勢]

(1)新金融緩和、日銀お金の量2年で2倍(4/5) ***

日銀の黒田総裁は、世の中に出回るお金の総額を2年で倍増させる新金融緩和は「常識を超えて巨額だ」と述べた。2%の物価上昇目標を2年で達成するため、現時点で必要な措置はすべて講じたとした。

政策の目標を翌日物金利からお金の量に転換したが、指標としてわかりやすいと説明した。

従来の日銀の緩和目標を念頭に「小出しにするやり方では物価目標を達成できない」と指摘し、白方前総裁との違いを明確にした。

新金融緩和は、世の中に出回っているお金と金融機関が日銀に預けているお金の総額であるマネタリーベース(資金供給残高)を目標に設定する。12年末に138兆円だった残高を、14年末に270兆円に拡大する。

長期国債の購入は40年債を含むすべての期間を対象とし、満期までの平均期間を現状の3年弱から7年程度に延長する。日銀の保有額を12年末の89兆円から14年末に190兆円まで引き上げる。長期国債の保有額を日銀券の発行残高以内に抑える日銀券ルールを当面やめることで、日銀が財政赤字を穴埋めしていると市場が受け止める恐れについては、黒田総裁は「その意図は全くない」と否定した。不動産投資信託(REIT)や上場投資信託(REIT)の購入も拡大する。

資産バブルなどの副作用が心配される点については「副作用が直ちに現れるリスクは極めて小さい」と総裁は述べた。

日銀は01年から5年間、今回と似た量的緩和を実施したが、総需要を押し上げる効果は限定的だったと結論付けている。総裁は「同時に質的な緩和を進め、長めの金利をさらに下げることで需要が出てくる」として、当時の政策を単に復活させたわけではないとした(参考文献:信濃毎日新聞)。