[株価]

(1)安倍バブル、個人も巻き込む(3/30) ***

2012年末の平均株価が、5年ぶりの高値を付けた。市場の熱気は個人も巻き込み始めたが、企業業績は回復途上だ。土地への投資も動き出し、政策への期待や思惑ばかりが先行する安倍バブルと警戒する声も出てきた。

株価に火を付けたのは、安倍政権の経済政策アベノミクスだ。景気回復への期待から株価は世界的に値上がり基調にあるが、日本の上げ方は群を抜く。昨年3月比で、ニューヨーク株式市場のダウ工業30種平均の伸び率は約10%にとどまるが、日経平均株価は約23%上昇した。

少額でもオフィスビルやマンションに投資ができる不動産投資信託(REIT)も人気を集める。不動産市況の回復期待から、全体の値動きを示す東証REIT指数は29日終値が前年度末比で約66%も上昇した。

だが、ここに来て株価はやや足踏み気味だ。3月第3週には株高を主導してきた外国人投資家による売却額が買った額を上回った。キプロスの財政危機をきっかけに投資家が安全志向を強めたためで、売り越しは19週ぶりだ。市場は引き続きリスクに敏感だ。

29日には経営改善策が示せていないとしてパナソニックの株価が大幅に下落した。企業業績の回復の裏付けがないままだと、株高が一変する可能性がある。日本取引所グループの斉藤CEOは「海外のプロは、安倍政権の改革が本物なのか注目している。大きな改革になっていないとなれば、金の流れが止まるだろう」と指摘する(参考文献:信濃毎日新聞)。