[自由貿易]

(1)農業生産3兆円減、GDP3.2兆円増―政府試算(3/16) **

政府は、環太平洋連携協定(TPP)参加時の国内への影響試算を発表した。関税を撤廃すると、米や砂糖など農林水産物33品目の国内生産額合計約7兆1千億円のうち、約3兆円が失われると見積もった。影響が最大のコメは1兆100億円減る。

33品目は関税率が10%以上で国内生産額が10億円以上である。関税撤廃の影響が大きいことから試算対象に選んだ。

食糧自給率は、11年の39%から27%程度に低下する。ただ、工業品の輸出は増えるため、10年後の実質国内総生産(GDP)を3兆2千億円押し上げる効果がある。

33品目の関税を即時撤廃し、追加の国内対策を講じない仮定で試算された。政府は交渉を通じ関税撤廃の例外を確保し、減少額を小さくすることを目指す。

米に次いで影響額が大きいのが豚肉(4600億円)、牛肉(3600億円)、牛乳乳製品(2900億円)、の順だ。砂糖は、国内生産額の1500億円全てが失われると試算した。水産物は2500億円、林産物は500億円、それぞれ減少する。

GDPの押し上げ効果は、工業品の輸出増のため、消費が3兆円、輸出が2兆6千億円、投資は5千億円で、計6兆1千億円のプラスの効果を見込む。農産物の輸入で2兆9千億円のマイナス効果があるとみており、差し引き3兆2千億円のGDP拡大を見込んでいる。