[国内景気動向]

(1)日銀6月短観(重要30用語参照)、景況感プラス(7/2) ***

日銀が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、円安の追い風を受けた自動車など輸出産業がけん引役となり、景況感がプラスに転じた。しかし、円安による原材料高が重荷となっているエネルギー業界や中小企業との二極化は解消しないままだ。そして、設備投資や雇用への波及も心もとなく、先行きへの不安感は消えない。

高島屋は、ブランドの宝飾品や時計の売り上げが前年同期比2割以上増えたことを挙げ、富裕層の消費意欲が盛り上がったことを歓迎した。ビックカメラ新宿東口店でも高い商品が売れている。テレビはかつて40〜50型が売れ筋だったが、最近はより大きいサイズの60型が好調という。

中堅中小企業の景況感はやや改善したが、取り巻く環境は厳しいままだ。ある中堅メーカーは、「受注が目立って増えていない。景気回復の効果は実感できない」と話す。

短観によると、大企業の「電気・ガス」の景況感はマイナス18に10ポイント下落した。「石油・石炭製品」も19ポイント下落のマイナス6に転落した。アベノミクスによる円安で原油の輸入価格が上昇し、採算が厳しくなっている。

大企業の設備投資計画は大幅に上方修正されたが、基幹産業の自動車は、需要がある地域で生産する「地産地消」を進めている。大規模投資は消費地である北米や新興国で実施する考えだ。

製造業では、雇用改善の足取りは鈍い。短観は、大企業、中堅企業、中小企業とも、人員に余剰感があることを示した。

[日銀短観DI]
大企業 中小企業
製造業 −14
12 非製造業 −4
全産業 −8