[中国経済]

(1)中国発の危機、世界が警戒(6/26) ***

中国の金融市場の突然の波乱が、世界を揺さぶっている。放漫融資や過剰な財テクなどのバブルつぶしを優先し、習近平指導部も、ようやく荒れる市場の鎮静化に乗り出した。

中国人民銀行(中央銀行)は、「市場金利を合理的な範囲に導く」とした。しかし、市場では中国当局の本気度に懐疑的な見方が根強い。バブル退治に向けた指導部の覚悟は変わらないとみているからだ。

中国では、景気に配慮して供給してきた資金が生産活動に回らず、「影の銀行「(シャドーバンキング)」に流出してきた。不動産開発や地方政府系の投資会社に迂回融資され、乱開発や無駄な公共工事を招いてきた。多くの金融機関が高金利で元本割れのリスクがある「理財商品」と呼ばれる財テク商品の販売に手を染め、金融システムの不健全さが海外からも指摘された。

当局が株価急落の引き金となった金利急騰を容認してきたのは、「資金調達を困難にすることで、不透明な財テクを助長してきた金融機関を懲罰する意味もある」という。

中国経済のバブルは、胡錦濤前主席らがリーマンショック後に打ち出した4兆元(約63兆円)規模の財政出動の負の遺産でもある。今春に本格始動した習指導部は、景気対策より経済改革を優先しているといわれる。狙いは、前指導部時代のうみを出し切ることにある。

中国全土にあふれた資金は都市部の富裕層を潤す一方、農村部は置き去りにされてきた。拡大した貧富の差が社会不安の温床となりかねないとの強い危機感が現指導部にはある。ただ、改革優先の政策には、副作用が伴う。資金繰りが行き詰って企業倒産が増えたり、銀行への資本注入が必要になったりする可能性がある。欧米金融大手は、今年のGDP成長率が政府目標の7.5%を下回るとの見通しを相次いで示した。

そして、不良債権処理を進める財源にしようと、中国が米国債の売却に動くとの観測も浮上した。そうなると、米国の量的緩和の縮小シナリオにも影響を及ぼしかねない。

「市場の動揺は一般の銀行預金とは無関係」と国営中央テレビは、繰返し放送し、取り付け騒ぎなど混乱が広がらないように鎮静化に躍起となっている(参考文献:信濃毎日新聞)。