[中国経済]

(1) 中国、貸出金利の下限撤廃(7/21) ***

中国が銀行の貸出金利を自由化した。これまで中国当局は、銀行が企業に融資する際の貸出金利に下限を定めていた。19日まで貸出金利の基準金利の6%に対して、その7割の4.2%までしか下げられなかった。この規制をなくしたのである。

ただ、まだ預金金利の上限規制は維持されている。今の預金金利の基準金利は3%で、その1.1倍の3.3%が上限だ。このため、銀行は低い金利で預金を集め、高い金利で融資して利ザヤを得られたのである。これまでは銀行に有利な規制であった。銀行は大きな営業努力をしなくても済んだのである。大手国有企業には融資する反面、民営企業や中小企業など国の後ろ盾がなくリスクの高そうな相手には貸さず、中国経済の発展を阻害していると批判されていました。こうした規制が、影の銀行(シャドーバンキング)の拡大を招いたのである。

影の銀行とは、規制の厳しい銀行融資とは別のルートで資金を集め、融資する取引のことである。預金金利の上限より利回りが高い理財商品と呼ばれる金融商品などで調達した資金が、銀行から借りられない企業や投資プロジェクトに流れている。問題なのは、融資規模の実態が不透明な事であり、景気後退があれば不良債権になるお恐れがある。

今回の措置の他にも、預金金利の自由化まで踏み込む必要があるとの声が強い。金融業に市場原理が本格導入されれば、銀行は本当に資金が必要なところに適正な審査を経てお金を貸すように努力することになるだろう。

中国政府は経済の在り方の変革を目指しており、貸出金利の下限規制をなくしたことは、金利の完全自由化への第一歩である(参考文献:信濃毎日新聞)。