[ユーロ圏経済]

(1)ユーロ圏GDP0.3%減―2013年見通し(2/23) ***

欧州連合(EU)の欧州委員会は、経済見通しを発表し、13年のユーロ圏(17か国)の実質域内総生産(GDP)を前年比0.3%減のマイナス成長と予測し、0.1%増としていた昨年11月の見通しから大幅に下方修正した。12年実績の0.5%減に続く2年連続のマイナス成長となる見込みだ。

欧州委員会が見通しを大きく引き下げたのは、緊縮財政の影響で需要が大きく落ち込んでいるのが主因だ。金融市場の改善と失業率の高止まりに代表される実体経済との差は広がる一方で、欧州危機の出口は遠いことを示している。

マイナス成長は、財政再建の最も重要な指標であるGDP対比での財政赤字や債務残高を拡大させる。緊縮財政がマイナス成長の大きな原因となっている以上、単純な財政引き締め強化では逆効果になりかねず、欧州委や各国政府は難しい判断を迫られる。

唯一の明るい兆しは、経常収支見通しの大幅な改善だ。昨年11月にはユーロ圏全体でGDPの1.5%と見込んでいた経常収支黒字は、2.2%に上方修正された。賃下げや解雇要件の緩和といった痛みを伴う労働市場改革が実を結びつつあり、輸出競争力の回復につながった。

欧州各国には、低成長の中で労働市場改革などをさらに進め、成長力を高めていくという長く困難な道が続きそうだ(参考文献:信濃毎日新聞)。