[国際経済動向]

(1)G20財務相会議、経済政策かじ取り多難(2/16) ***

モスクワでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、先進国の財政問題が重要議題となる。各国は金融緩和や財政出動で景気を下支えする一方、中期的には財政再建を進めるという難題に直面している。日本も財政出動には限界があり、景気刺激は金融緩和頼みだ。海外からは円安誘導という批判も出ており、経済政策のかじ取りは一段と難しくなっている。

麻生財務相は、デフレ脱却に向け金融緩和だけでなく財政面でも手を打っていると強調するが、総額約13兆円の補正予算案に、民主党などは「財政規律に問題がある」と反対している。政府は従来の財政健全化を堅持する方針だが、参院選もあり財政再建に向けた計画づくりは8月以降に先送りする見通しだ。

米国も同じような状況だ。米議会予算局の試算では、13年度の財政赤字の対国内総生産比(GDP)は5.3%の見通しだ。09年度の10.0%からは半減させる政権公約にはわずかながら届かない。オバマ米大統領は12日の一般教書演説で、経済成長にも配慮した財政再建が必要だと強調した。10年間で4兆ドルの赤字削減という目標を変えずに、追加の景気対策は可能だと訴えた。しかし、財政拡大に反発する共和党が追加対策を認める見通しは立たず、政策の実現性は低い。日本と同様、金融対策に頼るしかないのが実情だ。

債務危機の欧州各国も財政の厳格化を進めており、英国とチェコを除く欧州連合(EU)25カ国は12年、財政収支の事実上の均衡を義務付ける新財政協定に署名した。目標達成に向け、各国は緊縮財政を進めているが、12年10〜12月期までのユーロ圏GDPは3四半期連続でマイナス成長となっており、経済への打撃は大きい。

  このため、G20は先進国が「13年に財政赤字を半減させる」とした財政健全化目標の見直しに着手した。今秋の首脳会議までに新たな目標を定める方針だ。景気に配慮しつつ、財政赤字の目標をどう設定するか。各国は頭を悩ませることになりそうだ(参考文献:信濃毎日新聞)。


[国際金融市場]

(1)G7円安誘導をけん制(2/13) ***

日米欧の先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、為替相場の誘導を財政・金融政策の目標にしないとする緊急声明を発表した。アベノミクスにより急速に円安が進んだことに一部の国から批判が出ており、日本を念頭に今後の円安誘導の動きをけん制する狙いがあるとみられる。現在の円相場の水準は事実上容認した。

安倍政権は日銀に2%の物価目標導入を迫り、1月に共同文書をまとめた。政権交代前は1ドル=80円前後だった円相場が1ドル=94円台まで下落したため、海外では日本の政策は円安誘導が目的との批判が出ている。日本政府は早期のデフレ脱却に向け、大胆な金融緩和の推進を経済政策の柱に据えている。これは円安方向に導くため、政府が日銀に一段の緩和を迫る場合には、G7各国に政策の意図を明確に説明する必要に迫られそうだ。

緊急声明には、15〜16日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、為替問題が主要な議題となって衝突するのを防ぐために、ガス抜きをしておきたいとの思惑もある。

しかし、新興国は、先進各国の金融緩和で自国通貨高が進んでいると不満を強めている。G20でも日本など先進各国に批判が集中する可能性があり、日本は妥当な説明が求められる(参考文献:信濃毎日新聞)。