[国際金融市場]
(1)FRBの緩和縮小観測、欧米で長期金利急上昇(8/27) ***
米国や欧州主要国で長期金利が急上昇している。各国の中央銀行は、超低金利政策と量的緩和で金利水準を低く抑えてきたが、米連邦準備制度理事会(FRB)が緩和縮小を模索し始めたことで状況は一変した。影響は住宅ローンなど金利全般に及んでおり、経済成長を損なう恐れも出てきた。
変調は5月下旬のバーナンキFRB議長の議会証言がきっかけで、雇用改善が続くと確信できれば、「量的緩和に伴う国債などの購入ペースを落とすことができる」と発言した。不意を突かれた金融市場は、長期債を中心とした国債が一気に売り込まれた。予想外の反応に驚いたFRBは、緩和終了後も事実上のゼロ金利を維持することには変わりはないと強調した。
しかし、国債相場はその後もじりじりと下落(利回りは上昇)し、米国では長期金利の指標となる10年物国債の利回りが4月末の1.67%から4カ月足らずで約2年1か月ぶりの水準となる2.9%台に上昇した。金利上昇は住宅市場の回復にも影を落とし、景気先行きのリスクと認識されるようになった。こうした米国の動きは欧州にも同様に波及している。ただ、日本では、日銀の異次元緩和の効果もあって、5月末の0.86%から0.7%台に下落しているのとは対照的だ。
欧米市場の過敏な反応は、今後の金融政策について見通しが不透明であることを反映している。FRBだけでなく英国や欧州の中央銀行も経済状況がさらに好転するまでは超低金利政策を継続すると明言しているが、足元の景気は各国とも明暗まだら模様で金融政策の今後を読み取るのは難しい。米国の緩和縮小観測を背景に市場の動きは大きくなりがちだ(参考文献:信濃毎日新聞)。