[雇用情勢]
(1)最低賃金引上げ(8/7) ***
中央最低賃金審議会の小委員会が6日、2013年度の引き上げの目安をまとめ、各地の最低賃金は大きく引き上げられる見通しだ。引き上げに再三言及してきた安倍首相の意欲が、経営側の反発を抑え込んだ格好だ。ただ都市部と地方の格差は拡大し、需給10円台の賃上げでは、低所得労働者の人並みの暮らしは依然遠いようだ。
安倍首相は、デフレから脱却し2年で2%の物価上昇目標を掲げる。最低賃金引き上げにこだわったのは、物価だけが上昇して賃金に反映されなければ、家計への負担が増す悪いインフレになり、アベノミクスが失速しかねない。
最低賃金は現在、全国平均で749円だ。小委員会が示した時給14円の平均引き上げ幅はこの2%(15円)に近く、政治決着のにおいが漂う。小委員会は有識者と労使代表者が協議する。首相が口をさしはさむことは出来ないが、委員たちは無言の圧力を感じてきた、
労働者側は、ワーキングプア(働く貧困層)の増加に危機感を抱き、引き上げは不十分と強調した。さらに、最低賃金を上回っていても最低限度の生活は出来ないと訴える。
地方格差の拡大も課題だ。最低賃金が現在最も高いのは東京だ。すでに850円で、目安通りに上がれば869円になる。一方、最も安い島根県や高知県は、目安通り上げても時給662円。差は約200円に広がる。
大幅な引き上げ目安の提示に、アベノミクスの恩恵を受けられない地方の経済団体関係者からは、戸惑いの声が広がる(参考文献:信濃毎日新聞)。