[競争政策]

(1)ソフトバンクのイー・アクセス買収(10/3) ***

携帯電話業界3位のソフトバンクが、4位のイー・アクセス(イー・モバイル)の買収を決めた。買収の狙いは、携帯に使う電波の不足を解消し、通信状況を改善するのが一番の目的である。ソフトバンクモバイルは、電波の周波数帯が不足気味で、イー・モバイルの電波も使えるようにすることで、回線の混雑緩和を図る。

なぜこの時期なのかは、9月21日にアップルのiPhone5を発売したことが背景である。iPhone5のテザリング機能によりデータ通信料が増大する恐れがありました。テザリング機能とは、iPhone5の近くにあるパソコンやゲーム機など複数の機器をiPhone5が中継してインターネットにつなげることができる。イー・モバイルの携帯電話契約数は8月末時点で約420万件と、保有する周波数帯に対する割合は大手で最小で余裕がある。iPhone5の高速通信に対応した周波数帯もあり、ソフトバンクの通信インフラは強化されそうだ。

この結果、勢力図は、ソフトバンク(契約数は買収で約3434万件)が2位のau(契約数約3588万件)に肉薄する。

一方、4社体制だった携帯電話業界が実質3グループに集約され寡占化が進むと、価格競争が起きにくくなる懸念もありそうだ(参考文献:信濃毎日新聞)。


[国内景気動向]

(1)日銀9月短観、景況感悪化(10/2) ***

景気の先行き懸念が鮮明になってきた。日銀の9月の企業短期経済観測調査(短観)では企業の景況感が悪化した。欧米景気の停滞に加え、日中関係の悪化による対中輸出減少など、懸念材料が尽きない。財政難から野田内閣の景気対策も期待薄で、日本経済は内憂外患が続きそうだ。

[9月の日銀短観]
今回(変化幅) 先行き
大企業製造業 −3(−2) −3
大企業非製造業 8(0)
 

9月の短観は、海外経済の減速を背景に大企業製造業の景況感が3期ぶりに悪化した。スペインなどで緊縮財政に反対するデモが相次ぎ、欧州債務問題は落ち着きをみせない。尖閣問題で中国向け輸出が減少するのは必至だ。米国は、大型減税の停止と大幅な歳出削減が年明けから始まる財政の壁を乗り切る必要がある。外需を当てにするのは危うい状況にある。

そのため、日銀は先月、短観を待たずに追加の金融緩和を実施した。市場に出回るお金を増やし、底堅さが続くとされる個人消費など内需を下支えする姿勢を示した。しかし、景気へのカンフル剤だったエコカー補助金が9月下旬に打ち切られ、9月の新車販売台数は3.4%減と12か月ぶりに前年水準を割った。景気を支えてきた復興需要の息切れを指摘する声も出ている。

財務省幹部は「日銀が先手を打って追加緩和に踏み切ったのに、政府が何もしないわけにはいかない」とするが、国の借金が900兆円を超える中、大規模な財政出動は難しい。景気回復への手詰まり感は、改造内閣でも容易に打開できそうにない(参考文献:信濃毎日新聞)。

(2)円高懸念、介入も辞さず(10/5) ***

城島新財務相は、東京で11日に開く先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、円高が日本経済に悪影響を与えているとの懸念を表明する意向を固めた。これ以上の円高は、足踏みしている日本経済をさらに下押ししかねないと判断した。過度な円高には介入も辞さないと方針に理解を求める。

日本の為替介入には、欧米各国は基本的に否定的だ。各国とも自国通貨を安くして輸出を増やし、景気回復につなげたいためだ。ただ大震災を受け、国際通貨基金(IMF)が「円は過大評価されている」と指摘するなど介入に一定の理解を示しており、日本政府はこれを追い風に円高是正の正当性を世界にアピールする考えだ。

G7の最大の議題である欧州債務危機では、日米が危機解決に向けた一段の取り組みを欧州側に要請する。日本は欧州安定メカニズム(ESM)が資金調達のために発行するESM債を購入する用意があると伝える方針だ。資金協力で危機の深刻化を防ぐ狙いだ。 

欧州危機で中国など新興国の経済も減速感が強まっている。復興需要に支えられていた日本の景気も減速した。米国の財政問題も懸念材料だ。G7は世界経済の下振れリスクは一段と高まっているとの認識を共有し、協調して世界経済の底割れを回避することを改めて確認する(参考文献:信濃毎日新聞)。