[企業部門]

(1) アサヒ「スーパードライ」の樋口広太郎さん死去(9/18) ***

「スーパードライ」をヒットさせ、アサヒビールを業界首位に育てた元同社社長の樋口広太郎氏が16日午後11時4分、死去した。86歳だった。

住友銀行で専務、副頭取などを経て、86年3月にアサヒビール社長に就任した。味のキレを追求し同社の主力商品に育つ生ビール「スーパードライ」の投入を決断するなど強気の経営を展開した。1ケタ台に低迷していた同社のシェアを大きく伸ばし、独走していたキリンビールから業界最大手の地位奪取に尽力した。92年に会長、99年に名誉会長、06年から名誉顧問を務めた。会長時代から政財界で活躍し、小泉内閣でも内閣特別顧問となり、経済分野で首相に助言していた(参考文献:信濃毎日新聞)。


[経済厚生]

(1)敬老の日―住み続けられる街を(9/17) ***

高齢化が急速に進んでいる。65歳以上が総人口に占める比率、高齢化率はいま23.3%だ。2025年には30%を超え、60年には40%に迫ると推定されている。団塊の世代が、今年から65歳の高齢者の仲間入りをしている。様々な高齢化対応は待ったなしだ。

買い物弱者は、全国で910万人だ。農林水産省が6月に発表した数字だ。生鮮食料品などを売る最寄りの店まで直線で500メートル以上離れ、自動車を持たない人を集計した。対策はいくつか考えられるが、スーパーや生協による移動販売など様々な取り組みが進んでおり、心強い。長野県伊那市中心部の商店主らで作る「伊那まちの再生やるじゃん会」は、10月から月2回程度をめどに、車による移動販売を計画している。商店街の方から出っ張っていく形である。高齢者にとって、買い物は社会との接点を維持する意味もある。健康維持にも役立つ。消費活動を超える大事な行為である。

問題を街づくりの面から考えてみたい。商店街が歩いて行ける距離にあれば買い物弱者は発生しにくい。都市機能を狭い範囲に集中させる「コンパクトシティー」の考え方だ。戦後、都市機能は郊外へと膨張し続け、その結果、日本は車がなければ暮らしがままならない社会になってしまった。

発想を逆転し、病院、介護施設、市役所、学校や住居を狭い区域にまとめていけば、高齢者にも住みやすい街になる。土地代が安いからといって、公共施設を郊外に移すのは考え物だ。

高齢者が住み続けられる生活圏をどうつくっていくか。フランスでは1982年、交通基本法を公布して「移動の権利」を制定した。地方自治体には自主財源として「交通税」の導入を認めるなど、社会全体で交通網を守る姿勢を打ち出している。公共交通は本来なら民間事業者任せにせず、政府や自治体、住民の関与を強めて公の責任で維持すべきものだ。   10年後には団塊の世代が70代後半に差しかかる。時間は少ない(参考文献:信濃毎日新聞)。


[財政]

(1)格差問題はらむ地方分権―森永卓郎氏(9/19) **

日本維新の会の最大の理念は地方分権であり、同党の船中八策には「中央集権型国家から地方分権型国家へ」という方針が明記されている。中央政府は外交や防衛など中央しかできないことことに特化し、基本的な行政機能は地方が担うという考え方は正しいと思われる。

ただ、地方分権は、やり方によっては大きな格差を生む。維新八策にも「地方交付税制度の廃止」、「地方の仕事は地方の財布で」という表現が見られる。しかし、地方に財源を移譲して財源調整を行わなければ、地域間の格差は劇的に拡大する。例えば、大阪市で最も裕福な中央区と最も貧しい西成区では、住民一人当たりの税収が13倍も違う。大阪都構想では、24ある行政区を3分の1程度に減らして、市と同じ機能を持つ特別区として独立させることにしている。それぞれの特別区が税収を得るようになったら、一人当たりの税収を完全に平等にすることは難しいだろう。税収が多い特別区が、より多い財源の取得を主張するからだ。それぞれの地域のエゴが出てきやすいのである。

これは、日本維新の会が最終的に目指す道州制が導入されても同じことになる。豊かな大都市圏が豊富な財源を獲得し、地方との財政格差が大きくなることは確実だからだ。

今後を考えると、単に地方分権すべきかどうかではなく、大都市と地方の財源調整をどのような方法で、どのくらいの程度までおこなうべきかをしっかりと議論すべきである(参考文献:信濃毎日新聞)。


[金融情勢]

(1)日銀、10兆円追加緩和(9/20) ***

日銀が欧米に続いて、10兆円の国債買い入れの追加金融緩和のカードを切った。

反日デモなど中国リスクの高まりで日本経済の先行き懸念が増し、景気回復の遅れの可能性が高まってきたからだ。日銀の白川総裁は、19日の金融政策決定会合後、尖閣問題の経済面への影響に警戒感をにじませた。

中国は日本にとり最大の輸出先だ。欧州債務問題の影響で、中国の成長ペースはすでに鈍化している。尖閣問題により日本製品のボイコットが激しくなれば、日本経済にさらに深刻な打撃を与える恐れがある。

9月に入り欧州中央銀行(ECB)が財政危機に陥った国の国債を無制限で買い取ると表明、米連邦準備制度理事会(FRB)は住宅ローンの金融商品を無期限で買い取るという量的緩和第3弾を打ち出した。経済低迷の長期化を恐れた主要国の中央銀行が「緩和競争」に舵を切る中、日銀が追加緩和を見送れば一段の円高は不可避と見られていた。

しかし、ECBやFRBの金融緩和が、国債買い入れなどで「期間を設けず」、「無制限に」と未踏の領域に踏み込んでいる。日銀の緩和策に市場が物足りなさを感じれば、円高圧力が高まる可能性もある。

そして、衆院解散・総選挙を控え、日銀への政治圧力が強まることは避けられない。財政に余裕がないため、景気てこ入れには、民主党、自民党を問わず、「日銀頼み」にならざるを得ない現実がある。


[WTO]

(1)米中、互いにWTO提訴(9/18) ***

米通商代表部(USTR)は、中国が自動車や自動車部品の輸出に対して不当な政府補助金を出しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴した。中国商務省も、対抗措置として別の案件で米国を提訴した。

米国は大統領選を控え、中国も今秋に政権交代が予想され、政治的思惑を背景にした双方の通商紛争が激化した。

USTRによると、中国は輸出基地と認定した特定の地域から輸出する自動車と自動車部品に対し、広範な補助金を与えており、09年から11年の間で補助金は少なくとも10億ドルに上るという。カーク米通商代表「オバマ政権は自動車産業で働く米労働者を守り、公平な競争条件が確保できるよう主張する」との声明を発表した。

これに対し、中国商務省は、中国に不利な形で修正された米国の関税法が国際貿易のルールに違反しているとして、WTOに提訴したと発表した(参考文献:信濃毎日新聞)。