[企業動向]

(1)トヨタ、営業益1兆円予想、HV・低価格で攻勢(5/10) ***

  トヨタ自動車が発表した2013年3月期の連結決算予想では、営業利益は5年ぶりに1兆円超を見込み、V字回復が鮮明となった。

12年3月期連結決算は、タイ洪水や円高による減益をコスト削減活動により前期からの減益幅を1126億円にとどめ、営業利益は3556億円を確保した。

13年3月期は、災害の影響が減殺されることに加え、国内のエコカー補助金、北米ではガソリン高を追い風にハイブリッド車(HV)の販売増を見込む。新興国では、年内に中国やブラジルで新工場を稼動させ、低価格の戦略車を投入する方針だ。このほか、国内外で相次いで新型車を投入して販売攻勢をかけ、08年3月期以来の営業利益1兆円突破を目指す。ただ、これを達成しても、08年3月期(2兆2703億円)の半分以下の水準だ。

国内生産300万台維持を掲げるトヨタは、円高に弱い国内事業が収益の足を引っ張っていたが、これに関して解決の道筋が見えてきた。12年3月期の国内事業は、輸出の採算悪化で営業赤字が4389億円に上った。しかし、台数が半分でも利益が出せるエンジンの生産ライン構築など、全社的な収益改善策により今期の国内単独黒字も視野に入っている。

  今後は、欧州危機の再燃や、米経済の先行き不安、中国市場の減速懸念がくすぶり、本格的な成長軌道に復帰できるかは予断を許さない。


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