[ユーロ圏経済]

(1)スペイン経済、不振の連鎖(6/22) ***

経済危機にあるスペインから資金や労働力が流出している。投資家は経済の好転が見込めないと資金の引き上げを加速し、バブル期の成長を支えていた移民の流入も止まり、国内人口は減少に転じた。直接投資も伸び悩み、不振が不振を呼ぶ負の連鎖に陥りつつある。

今年3月に国外に流失したお金から、流入したお金を差し引いた金額は、662億ユーロ(約6兆6200億円)だ。銀行の不良債権問題や地方財政の悪化や、中央政府の財政悪化から、景気の改善は当面見込めないとして、投資家はマネーを国外に退避させる動きを鮮明にしている。

人材も国外に流出し始めている。11年末に市民権を取得した外国人の人口は565万人で、前年比0.2%減と初めて減少した。成長を押し上げていた移民の大量流入は、現在逆流しつつある。

海外からのビジネスや観光客も減少している。4月にホテルを利用した外国人宿泊客は、324万人と前年同月比3%減だ。投資も減っている。1〜3月期の対内直接投資は67億ユーロと、前年同期比13%減少した。

資金や労働力の流出に歯止めをかけられなければ、スペイン経済は縮小に向かわざるを得ない。(参考文献:日本経済新聞)


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