[ユーロ圏経済]

(1)ギリシャ離脱、100兆円の損失も(6/14) ***

ギリシャの再選挙が17日に迫ってきた。反緊縮派が勝利すれば、ギリシャはユーロ圏離脱に追い込まれ、ユーロ圏経済への影響は1兆ユーロ(100兆円)超に上る可能性がある。世論調査では、反緊縮派と緊縮派の支持率は拮抗している。

ギリシャの観光収入は政治的な混乱が敬遠され、1〜3月期に15%減少した。スペインやイタリアからの観光客が大幅に減ったのだという。観光業界もツアー料金を引き下げるなどしているが、お金をほとんど使わないお客が増えたという。ユーロから離脱し、国内に混乱が広がれば、短期的な客足は一段と遠のく恐れがある。スイスの金融大手UBSの試算によれば,離脱によるギリシャへの影響は、GDPの50%(10兆円)に上ると推計されている。

ギリシャが離脱すれば、ドイツやフランス政府はそれぞれ数兆円の規模の損失を被る恐れがある。推計によると、各国政府・中央銀行はギリシャ政府に対し、計29兆円の債権を所有しており、ユーロ離脱で15兆から23兆円の損失が発生する恐れがある。また、欧州主要銀行が持つギリシャの政府・企業向け債権は、7兆2000億円に上り、その一部も焦げ付く可能性が高い。

このような直接的影響より当局者が恐れるのは、スペインやイタリアなど財政不安を抱える国への波及だ。経済規模が大きいスペインなどが、国債流通利回りの高騰などの危機に陥れば、ユーロ圏各国による巨額の財政支援が必要になりかねない。金融機関の経営が悪化し貸し渋りが生じれば、生産が停滞し消費も冷え込み経済全体が加速度的に後退する恐れがある。(参考文献:日本経済新聞)


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