[雇用情勢]

(1)国内の若年失業率、20年で2倍に(7/15) ***

欧州で長く問題となってきた若者の就職難が日本でも深刻さを増している。状況はどうしたら改善するのか。各国が悩み、試行錯誤する難問を前に、日本も何とか解決の糸口を探さなくてはならない。

2011年の15〜24歳の完全失業率は8.2%となった。20年前に比べると2倍近い。全世代の4.5%を大きく上回る。新卒者に限ると、10人に1人が失業している。パートや派遣社員など非正規の若者も増え、25〜34歳では20年前には1割が非正規だったが、現在は25%にまで増加した。若者を取り巻く雇用環境は改善の兆しが見えない。

理由の一つには、高齢者雇用の拡大が挙げられる。60〜64歳の就業率は09年に57%になり、全体の就業率を初めて逆転した。1947〜49年に生まれた団塊世代が定年後も会社で働き続けているためだ。全体の就業率が低下する一方で、中高年の就業率は上昇している。企業が人件費を削減する場合には、中高年の雇用調整よりも、新卒採用の抑制を選びがちだ。政府は来年度から65歳までの希望者全員の継続雇用を企業に求める方針で、新卒など若い層への影響を懸念する学者も多い。

景気低迷で企業の雇用吸収力も弱まっている。来春卒業する大学生を対象とした求人数は55万3800人だ。08年秋のリーマン・ショック前の90万人台から落ち込んだままだ。正社員の枠も狭まった。

若者の側にも問題があるとの指摘も多い。高齢化に伴い医療や介護分野では、人材を求める企業はある。しかし、低賃金や厳しい仕事内容を敬遠する若者は少なくない。こうした雇用のミスマッチが拡大していることも、若者の就労機会の減少につながっている。

大学・短大への進学率が5割を超えるなかで、新卒の求人倍率が中小企業で3倍を超える一方、大企業では1倍を割り込んでいる。大学生の大企業志向は強く、人材を求める中小企業に目が向かずに就労の機会を逃すケースが目立つ。

[15〜24歳の失業率(12年3月)]
米国 16.4%
英国 21.9%
ドイツ 7.9%
フランス 21.8%
スペイン 51.1%
韓国 9.5%

若者の失業率が高いのは、上の表のとおり日本だけではない。欧米では、若者の雇用はより厳しい状況に置かれており、若年者失業は社会問題化している(参考文献:日本経済新聞)。