[景気動向]

(1)株価来年も上昇基調か(12/29) ***

大納会を終えた28日の東京株式市場で、平均株価が今年の最高値を更新した。衆院選後の株価の下落を予想する声もあったが、安倍内閣が打ち出すデフレ脱却や円高是正に向けた具体策への期待が持続している。

理由は「元首相や自民党の総裁経験者を配置した新内閣の重厚な布陣が評価された」ためだ。外国為替市場では円売りの動きが続いており、対ドルで約2年5か月ぶりの安値水準を記録した。輸出企業には大きなプラスとなる。

世界経済を圧迫してきた欧州債務問題の関連では、ギリシャの債務返済緩和策を欧州連合が承認して融資を再開した。投資家心理を改善させている。

こうした状況により、株式市場では年明け以降も、平均株価の上昇基調が続くとの見方が多い。問題は、政策実行前に期待が先行している事だ。市場の評価が得られるデフレ脱却策を実施できなければ、急騰した株価の揺り戻しも懸念される。さらに、米国では減税失効と歳出の強制削減が年明けに重なる「財政の崖」回避に向け、調整に手間取っている。こうした問題の解決が遅れれば、米国経済の悪化の恐れや日本経済の打撃も免れない。