[金融情勢]

(1)日銀、1月に物価目標(12/21) ***

日銀の白川総裁は、来年1月の金融政策決定会合で、物価目標の導入に結論を出すと表明した。消費者物価指数の上昇率を前年比2%とする目標を新たに設ける方向だ。

政府と日銀の申し合わせとなる政策協定に関しては「どういうあり方が望ましいのか考えていく」として、新政権と検討する姿勢を示した。いずれも自民党の安倍総裁の要請に沿った内容になる見通しだ。日銀は金融緩和策を実行してきたが、今後はより大胆になる見通しだ。政府と協調し、企業や個人に回るお金の規模を増やしていく。

日銀は20日の金融政策決定会合で、国債を買い入れる基金を10兆円増額し、101兆円とする追加金融緩和を決めた。国債保有の銀行などに日銀のお金が向かう形になり、企業は設備投資のためにお金が借りやすくなる。銀行などは、住宅や車を購入する個人にもお金を貸しやすくなる。

日銀は、これまで物価上昇率のはっきりした目標をつくることに消極的だった。「中長期的な物価安定のめど」を「2%以下のプラス」として、「当面は1%以下を目指す」と説明していた。安倍氏は日銀の姿勢を「あいまいだ」と批判していた(参考文献:信濃毎日新聞)。


[東南アジア経済]

(1)新興東南アジア賃上げ続々(12/18) ***

堅調な成長の東南アジアの新興国で、賃金引き上げが相次いでいる。生活水準の向上が賃金上昇圧力を強めており、前年比で約6割増の地域もあった。日中対立で中国以外へ投資先の分散を急ぐ日系企業には、雇用コスト高の懸念も浮上している。

6%台の高成長のインドネシアでは、首都ジャカルタで来年1月から適用される最低賃金が月20万ルピア(約1万9千円)で前年比約44%増だ。トヨタの工場がある県では、58%増となる見通しだ。インドネシアでは、昨年からデモが頻発し、度重なる待遇改善要求に押され、14年の選挙をにらむ政府も賃上げを容認しているのが実態だ。

周辺国でも賃上げ傾向は顕著だ。タイでは4月、バンコクなどの最低賃金を約4割引き上げた。ベトナムも来年1月に最低賃金を最大18%引き上げる方針で、5年前に比べ2倍以上の水準だ。

東南アジアは、人件費高騰が続く中国への一極集中を回避する投資先として人気が高い。最近は、尖閣問題で中国から生産拠点を分散する動きが加速しているだけに、域内での賃上げラッシュに、企業側の警戒も強まっている。平均の賃金水準が中国に追いつく地域も出てきそうである(参考文献:信濃毎日新聞)。