[国内景気動向]

(1)景況感悪化、震災後超・・・日銀12月短観(12/15) ***

日銀が発表した企業短期経済観測調査(短観)は、対中貿易の悪化が直撃し、大企業製造業の業況判断指数(DI)はマイナス12となり、大震災後の昨年6月調査のマイナス9より大きく落ち込んだ。

日中関係の冷え込みは、欧州債務危機の影響で世界経済が減速感を強める中で追い打ちとなった。中国で不買運動のターゲットとされ、国内でもエコカー補助金の打ち切りの影響を受けた自動車は大打撃を受けた。最近の自動車のDIはマイナス9だ。28ポイント下落し、下げ幅は大企業の全28業種で最大だった。

ただ先行きは、大企業製造業がマイナス10と、やや改善を見込むなど薄日も差しつつある。12年度の大企業全産業の設備投資も非製造業が支える形で上方修正された。中国や米国経済は底堅さを取り戻しつつあり、最近の円安基調が輸出産業の業績を押し上げる効果も期待できる。

19日の日銀の金融政策決定会合では、短観や金融市場の動向を点検し、慎重に追加金融緩和の是非を判断する方針だ。

[日銀短観の大企業業況判断]
今回 変化幅 先行き
製造業 −12 −9 −10
非製造業 −4
全産業 −3 −5 −3

(日銀短観については、「週刊トピック」の重要30用語参照) 


[アメリカ経済]

(1)米FRB失業率基準導入(12/14) ***

米連邦準備制度理事会(FRB)は、失業率が安定的に6.5%を下回るまで、事実上のゼロ金利政策を続けるとする政策変更基準の導入を決めた。失業率基準の導入は初めてだ。

年末で終わる金融緩和強化策に代わり、長期国債を月額450億ドル買い増す量的緩和の拡充も打ち出した。住宅ローン担保証券と合わせ、合計で月額850億ドルの資産購入を雇用情勢が著しく改善するまで続ける。購入に明確な期限は設けなかった。年明けに迫った財政の崖の行方次第では、資産購入のさらなる拡大もありうる。量的緩和拡充と合わせ長期金利低下を促し、景気を下支えする。

バーナンキFRB議長は「基準に達したら自動的に金融政策を引き締めるわけではない」と強調する。ゼロ金利解除の際には、他の指標も参考にすると述べた。