[企業部門]

(1)スマホ法廷対決、アップル勝訴、サムソン抗戦へ(8/26) ***

人気のスマートフォン(多機能携帯電話)とタブレット型多機能携帯端末をめぐり、アップルとサムソン電子の両雄が互いに特許技術侵害を主張している世界的な訴訟合戦は、アップルが米国での訴訟で事実上勝利した。サムソン側は判決後の控訴により徹底抗戦の構えだ。

訴訟は、アップルが昨春、サムソンによる特許侵害を訴えて以降、サムソンが対抗する形で拡大した。ドイツではEUを対象にアップルがサムソン製端末の販売指し止めを請求するなど泥沼化の様相を呈し、韓国では両者痛みわけともいえる判決が下ったばかりだ。

アップル代理人は、評決後記者団に対しサムソンの多機能携帯ギャラクシー製品の「米国販売指し止めを改めて請求する」と語ったが、サムソンは控訴する見通しだ。IT業界の頂上決戦は、今後も紆余曲折の見通しだ。

サムソンはグーグルが開発する基本ソフト(OS)アンドロイドを搭載する陣営の筆頭格だ。世界の多くのメーカーが参画し、急拡大したグーグル陣営の先行きに不透明感が漂い始めた。

米メディアによると、アップルの弁護士は最終弁論で「アップルのiPhoneとサムソンのギャラクシーの類似性を強調した。一方、サムソンは、ソニーや三菱電機の製品にはアップル特許の先行例があり、特許は無効だとしたが及ばなかった。

07年のiPhone発売から1年余りの後、グーグルはアンドロイドを完成した。台湾HTCやサムソンがアンドロイド搭載製品を次々と発売した。これに対し、アップルは10年にHTCを訴えた。そして、11年4月にサムソンを提訴した。アップルに半導体など重要部品を供給するパートナーだが、あえて踏み切った。

今回のサムソンによる特許侵害の判断は、ハードだけでなくグーグルが提供するソフト部分も含む。グーグルは別の技術で回避していくものと見られるが、訴訟リスクを嫌うメーカーがグーグル離れを起こす可能性もある。

そして、米メディアは、iPhoneと似た操作性を持つ製品を作る(日本企業を含む)他メーカーもアップルへのライセンス料を支払わなければならなくなる恐れがあると報じており、今後予断を許さない(信濃毎日新聞)。


[雇用情勢]

(1)大卒のニート3万人、非正規雇用は2万人(8/28) ***

今春4年制大学を卒業した学生約56万人のうち、6%に当たる約3万3千人が進学も就職の準備もしていないニートだったことが文部科学省の調査でわかった。就職率は63.9%で前年比2.3%改善したが、3.9%の約2万2千人が非正規雇用だった。

就職も大学院への進学もしていない人は15.5%の8万6,638人だった。ニートは、このうち約4割の3万3,584人だった。就職準備中が4万9,441人で、進学準備中は3,613人だった。

就職した人は35万7,285人で、このうち契約や派遣など非正規雇用が2万1,990人だった。アルバイトなど一時的な仕事についた人の割合は、前年と同じ3.5%だった。進学者は13.8%で、1.2ポイント減った(参考文献:信濃毎日新聞)。

[今春の4年制大学卒者の雇用情勢]
学生数 約55万9千人
就職者 357,285人(63.9%)
非正規雇用 2万1,990人(3.9%) 
ニート 3万3,584人(6%)


[FTA]

(1)TPP年内交渉参加断念(8/30) ***

政府が来月ロシアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加表明を見送る方針を固めたことが29日分かった。政局激動の中で、反対論が強い交渉参加の決断を先送りした。11月の米大統領選もあり日米協議の進展も見込めず、年内の交渉入りを事実上断念する。

日米それぞれの選挙後に仕切り直しとなる可能性が強く、日本の交渉参加は早くて来春以降との見方が出ている。米国など関係国による交渉も難航して長期化する見込みだが、参加が遅れればルールづくりに関与できる余地が狭まる恐れがある。

TPP交渉は、9月に米国で開かれる次回会合に続き、12月にはメキシコとカナダも新メンバーに加えて年内最後の会合を予定している。新規参加国を承認する米国の手続きには、議会との関係で90日以上かかる。日本が年内に交渉入りするには8月末までに参加表明し、米政府に議会通報してもらう必要があった。

しかし、民主党内では反対論が根強く、参加を強行した場合にはさらなる分裂を招きかねない情勢だ。9月8日の国会会期末を目指した意見集約は進んでいない。

参加表明をしても、米国の承認を得られるめどは立たない。米国も9月以降は大統領選一色になると見られ、オバマ大統領が米自動車業界の反対に対抗してまで日本の参加を支持する可能性は低い(参考文献:信濃毎日新聞)。

(2)日本やASEANなど16カ国参加FTA、15年妥結目標(8/31)***

東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓、インドなど16カ国は、カンボジアで経済閣僚会議を開き、アジアの広域自由貿易協定(FTA)交渉を来年早期に始め、2015年末までに妥結を目指す基本方針を決めた。このアジア広域FTAは、「域内包括的経済連携(RCEP)」と呼ばれ、昨年11月以降、ASEAN10カ国と日中韓、インドのほか、オーストラリア、ニュージーランドが予備協議を進めてきた。

全ての関税や投資規制などを段階的に撤廃する目標も明記した。11月の東アジアサミットに合わせて各国首脳が交渉開始を宣言する。実現すれば、GDPで19兆ドルを超え世界最大規模の経済連携が誕生する。日本は、これにより成長が見込めるアジア地域との結びつきを強め、貿易促進につなげたい考えだ。

基本指針では、アジア広域FTAが既存の2国間FTAを損なうことがないとしたほか、交渉妥結後も他国が参加できるよう開かれた協定にすることも盛り込んだ。交渉開始に向け、サービス、投資の自由化を検討する作業部会を設置する。

ただ、各国間で経済的な格差もあり、急速な貿易自由化に慎重な国もある。また、日本は経済と領土問題は切り離して考えるとしているが、狭義が難航する可能性もある(参考文献:信濃毎日新聞)。


[金融情勢]

(1)FRB議長「必要なら追加緩和」(9/1) ***

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、景気回復と雇用改善を促すため必要ならば「追加緩和を実施する」と表明し、緩和策に前向きな姿勢を改めて強調した。

議長は、欧州債務危機や米財政赤字削減策をめぐる不確実性などを指摘し、7月の失業率が8.3%と2月以来5ヶ月ぶりの高水準に悪化するなど、米雇用情勢の停滞は重大な懸念とし、一段の改善達成が重要だと説明した。追加緩和策を実施する上で、雇用情勢を最も重視する考えを示した。

議長は、市場でもっとも期待が高い大規模な資産購入による「量的緩和第3弾」や、14年末までとしている事実上のゼロ金利政策の方針延長など緩和策の選択肢に関しては、説明するにとどめた(参考文献:信濃毎日新聞)。