[国内景気動向]

(1)4〜6月期GDP年率1.4%増(8/14) ***

緩やかな回復を続けてきた日本経済に、急ブレーキがかかる恐れが出てきた。4〜6月期の実質GDP速報値は年率1.4%と、4四半期連続のプラスを守ったが、景気拡大ペースは市場の予想以上に鈍かった。低調な外需に加え、頼みの個人消費にも陰りが出てきたため、7〜9月期はゼロ成長になるとの厳しい声も聞かれる。

年率換算で前期比2%台半ばの予想が多かったが、1.4%にとどまった最大の理由はGDPの約6割を占める個人消費が期待を裏切ったことだ。個人消費は5四半期連続のプラスを確保したものの、伸び率は前期比わずか0.1%増であった。エコカー補助金の効果が1〜3月期に大きく出た反動が早くも表面化しほか、天候不順で夏物衣料が売れなかったことも響いた。先行き不安も大きい。エコカー補助金は今夏にも財源を使いきり終了する予定だ。そのため、7〜9月期の個人消費は横ばいかマイナスに転じるも懸念もある。

企業の設備投資は、前期の1.6%減から1.5%増に改善した。スマートフォンの普及により電子通信機器が上向いたほか、復興需要で建設機械や建設資材向けも伸びた。だが、世界景気の不透明や円高を背景に企業が投資を先送りしている可能性があり、今後は増加しても緩やかなペースにとどまるとの見方が多い。

日本経済のけん引役だった輸出については、世界経済の急回復は見込めないため、停滞が続く可能性が高い。4〜6月期の輸出は1.2%増と、前期の3.4%増から鈍化した。中国など新興国経済が勢いを取り戻さないと展望が開けそうもない。

今後の景気動向は、緩やかな回復をたどるという見方がある一方、悲観論も少なくない。景気は、岐路に差し掛かっているといえよう(参考文献:信濃毎日新聞)。