[国際経済]

(1)G20協調、日本が演出(4/22) ***

20日閉幕した主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、欧州危機の拡大を防ぐため、国際通貨基金(IMF)の資金増強を総額4300億ドル(34.8兆円)超とすることで合意した。

日本は、今回、ユーロ圏以外で先陣を切って600億ドル(4.9兆円)を出すと表明し、各国から資金が集まる流れを作った。日本の貢献はそれにとどまらず、実は、半ばIMFの代理人となって各国間の調整に動いていた。欧州危機は急激な円高を招くなど、日本経済に打撃が大きく、合意を先送りすれば市場の安定に大きなダメージを与えると危機感を増していたからだ。

日本が交渉を主導する中で、際立ったのが米国の冷めた対応だった。米国は4年連続で財政赤字が1兆ドル(81兆円)を超える見通しだ。11月の大統領選挙を控えて、欧州支援のお金に議会の承認が得られるメドが立たない。

欧州危機にあたり、日米両国は、これまでまず欧州の努力を求めるという立場で共同歩調をとってきた。今回の日本の変化は、米国に複雑な感情を抱かせたとみられる。最大の出資国の米国が動かないことは、各国の調整に大きな重しとなった。しかし、合意にメドが立ったのは、国内世論を気にしていた中国が「G20の合意という形をとるならば、拠出する」とIMFに伝えてきたことが大きい。4000億ドル超の資金確保が最終的に固まったのは、19日にG20会議が始まる直前だった。


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