[FTA]

(1)EU、2〜3年の決着視野に(5/29) ***

日本と欧州連合(EU)が、経済連携協定(EPA)の交渉開始に向け動き出す。予備交渉を経て、EUは非関税障壁の撤廃や農産品の関税撤廃を求める構えだ。世界最大規模の自由貿易圏づくりへ、日本も踏み込んだ対応が迫られる。

これは、EUと韓国の自由貿易協定(FTA)が7月1日に発効するためだ。EUが輸入する韓国製品の大半で関税が撤廃され、日本メーカーには大きな打撃となる。

日本製品の対EU輸出関税は、自動車が10%、薄型テレビ・液晶モニターは14%で、関税撤廃ならば効果は大きい。

環太平洋経済連携協定(PPA)参加の判断を先送りした日本にとり、EUとのEPAは「開国路線」の証しにもなる。インドなどとのFTA交渉が年末にもめどがつくEUには、対日EPAを通商政策の次の目玉にする思惑がある。

日本にとっての課題は、非関税障壁の撤廃だ。欧州委員会は、すでに27項目を要望済みだ。さらに、農産品を含め100%の関税撤廃を要求する。デンマークは、ベーコンの輸出拡大を狙っている。

日本は、韓国、オーストラリアなどとのEPA交渉に何年もかかっているが、EUはバローゾ欧州委員長の任期が切れる14年を交渉期限としている模様だ。各省庁や業界の利害を超えて強い指導力が日本にも必要になる。

日本とEUがEPAを結べば、世界のGDPの3割超を超える最大級の自由貿易圏となる。双方は競争政策、知的財産権、環境規制などの協調も含めた最も野心的なEPAを掲げるが、その分だけ締結へのハードルは高い。