[欧州経済]
(1)欧州中銀、利上げ視野(3/23) ***
取材に応じた欧州中央銀行(ECB)のシュタルク専務理事は「物価安定を損なう恐れがある」と語り、年1%の政策金利を4月にも引き上げることを示唆した。世界的な金融危機からようやく立ち直った金融市場は、東日本大震災とリビア情勢という2つにより不確実性が増したが、ECBは金融引き締めに軸足を移す構えだ。
「ユーロ圏は経済成長が続き、同時に高い物価上昇リスクがある。情勢は変わっていない」と、シュタルク氏は明言した。4月以降のできるだけ早い時期に利上げすることを探っているようだ。
労働組合が強い欧州では「物価上昇→賃上げ→更なる物価上昇」という循環につながりやすい。「それを防ぐのが中銀の役割」とシュタルク氏はいう。
4月はポルトガルが国債の大量償還を迎える。その中で利上げを強行すれば、市場が混乱する恐れは十分にある。それでも引き締めにこだわるのは、中銀の理想像が欧州では異なり、物価安定に強い決意を示すことが求められる。
しかも目下のところ、過剰な流動性が金融危機の原因になったとの共通認識が広がり、各国の左派政党は沈黙を守る。4月7日のECB理事会で、0.25%の利上げを決めるかが焦点だ。