[人口論]

(1)2010年国勢調査、単身世帯初の3割(6/30) ***

総務省の2010年の国勢調査によると、一人暮らしの世帯の割合は始めて3割を超え31.2%となり、家族類型でトップになった。日本の総人口に占める老年人口(65歳以上)の割合は23.1%(05年比2.9ポイント増)と、2回連続で世界最高であった。

これまでは、「夫婦と子供からなる世帯」が最多だったが、未婚者や高齢者の増加が一人暮らし世帯を押し上げたと見られ少子高齢化社会の深刻化を示すものといえよう。

総人口1億2805万人の内訳は、老年人口2929万人(14.1%増)、15歳未満の年少人口1679万人(4.1%減)、15〜64歳の生産年齢人口8073万人(4.0%減)である。

世界196カ国・地域を対象にした国連の人口推計との比較では、老年人口の割合は、各20.4%のドイツ、イタリアを上回った。年少人口の割合は13.2%と、過去最低を更新し、香港(11.5%)、マカオに次いで3番目に低かった。


[国内景気]

(1)日銀6月短観、景況感マイナスに(7/1) ***

  日銀が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス9となり、前回3月調査から15ポイント悪化した。マイナス転落は、昨年3月調査以来5期ぶりだ。ただ、大企業製造業の3ヶ月先を予想するDIはプラス2となり、先行きでは悲観的な見方が後退している。

業況判断DIは、景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値だ。今回が震災の影響を反映した初めての調査となる。調査対象は1万997社で、回答率は98.2%だった。

DIは悪化したが、リーマン・ショック後の谷(09年3月調査のマイナス58)と比べると落ち込みは限られている。 

大企業非製造業はマイナス5と、前回比8ポイント悪化した。自粛ムードの広がりで宿泊・飲食サービスの広がりでDIの悪化が目立った。

しかし、3ヶ月先の先行きの景況感は、現在より改善すると見ている企業が多い。こうした回復見通しは、11年度の収益計画にも表れている。上期の計画を下方修正する一方で、下期を大幅に上方修正する企業が相次いだ。


[FTA]

(1)韓国とEUのFTA発効(7/1) ***

韓国と欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)が、7月1日発効する。相互に貿易品目の99%超で関税を撤廃する高水準のFTAで、韓国自動車大手などにとり追い風となる。EUとの経済連携協定で集会遅れとなる日本の企業は、競争上一段と不利になると危機感を強めている。

韓国にとりEUは昨年の輸出先シェアで11.5%と、中国に次ぎ2番目である。韓国のメリットが一番大きいのが、自動車と自動車部品だ。現代自動車は、故障に対する5年保証で人気を獲得した。2010年はEUの自動車市場が縮小する中で、販売台数は4%増え、トヨタを上回った。上げ潮の流れをFTAが加速させる可能性がある。FTAで10%の中・大型車関税が3年以内に撤廃されれば、輸出でも戦略的な価格が打ち出せる。現地生産が中心の小型車でも、4.5%の部品関税撤廃の効果がある。域内生産者の場合、部品関税撤廃はコスト競争力をさらに高めるため、日欧メーカーは韓国勢の攻勢を警戒する。カラーテレビでも、韓国製品は5年以内に14%の関税が撤廃される。韓国政府は、EUとのFTAがGDPを長期的に最大5.6%押し上げる効果があると試算する。

影響は欧州・韓国の両市場に及ぶ。韓国で欧州製機械の利用が広がれば、技術体系もEU主導となり、影響が長引く懸念がある。

(2) 韓国、広がるFTA網(7/1) ***

韓国が目指すのは、主要交渉国と関税を撤廃するネットワークを張り巡らせ、世界のヒト、モノ、カネの結び目となるFTAハブだ。輸出拡大とともに投資誘致も狙い、生き残りを目指している。FTA網拡大は、「韓国にしかない輸出インフラ」として、外国企業を呼び込む武器になる。EUや米国とのFTAで、日本からより韓国で生産して有利な輸出が出来るようになる。FTA戦略のアクセルを踏み込んだ08年以降の外国から韓国への投資額は、年平均約8%を超える。

次の焦点の対米FTAは、両国議会の批准手続きがなお不透明だ。だが、交渉準備中の国・地域を含めると、FTA対象国は貿易額の9割に上る。日本が参加を探るTPPの枠組みを超える自由貿易圏を、独自に築き上げようとしている。

日本と同様、韓国でもFTAにより農業を中心に国内産業への影響が予想される。しかし、米、畜産業への手厚い支援で反対論者を抑え、製品輸出を優先する政策を確立済みだ。韓国のスピード感あふれる足取りは、出遅れが目立つ日本をはじめ他国の通商戦略の加速を迫る(経済産業省によると、貿易額(09年)に占めるFTA対象国(交渉中を含む)の比率は、昨年12月時点で37%だ。61%の韓国、46%のEUと比べ、周回遅れだ)。