[国内金融情勢]
(1)銀行の国債保有160兆円目前(6/17) ***銀行の国債保有残高が急増し、過去最大の160兆円目前まで膨れ上がっている。預金を企業への融資に回しきれず、あまった資金を国債購入に振り向けているためだ。4月末の全国銀行の国債保有残高は、158兆7800億円と過去最高だった。リーマンショック後から3年弱で2倍近くになった計算だ。
背景には、銀行の金余りがある。安定志向の高まりで個人や企業のお金が預金に集まる一方で、設備投資意欲の低迷などで貸し出しが落ち込んでいる。国際業務を行う銀行の自己資本規制が13年から段階的に導入されることも一要因だ。安全資産とされる国債の購入を加速させている側面がある。
ただ、金利上昇(債権価格下落)が続く局面になれば、銀行が巨額の損失を被る可能性もあり、国債に頼った運用は危うさもはらんでいる。預金を有望な貸出先に回すという銀行本来の役割が失われており、ひとたび国債が暴落すれば、金融不安を引き起こしかねない。
[EU経済]
(1)ギリシャ再生、市場に不安(6/17) ***
再び財政危機に陥ったギリシャへの追加支援の計画作りが、大詰めを迎えている。欧州連合(EU)などによる資金供給に加え、ギリシャ国有資産の売却、銀行など民間投資家の負担を含め、総額1200億ユーロ(13兆7000億円)規模に上る可能性がある。しかし、根本的問題解決に程遠く、市場はギリシャ再生の行方を不安視している。
EUは、大筋で意見が一致し、現在は民間投資家の負担のあり方を巡り調整を続けている。どの案にしても、国債の償還に必要な資金確保を先送りし、300億ユーロ規模の支援効果を見込む。しかし、格付け会社は、民間投資家に不利な条件を飲ませる「デフォルト(債務不履行)」とみなす可能性がある。この場合、国債を担保に融資を受けているギリシャの銀行の資金確保が難しくなるほか、ギリシャ国債を保有する欧州の金融機関も損失計上を迫られる恐れがある。そのため、支援が決まっても、市場への影響は避けられない。
また、EUなどによる追加資金供給は、新たな借金に過ぎない。市場では、「中長期的に債務元利の削減に踏み切らざるを得なくなる」との見方が多い。16日のギリシャ国債の流通利回りは一時、過去最高の18%台に上昇した。