[ストック]
(1)国富、2年連続マイナス(2月1日) ***
内閣府による09年度の国民経済計算によると、土地などの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は、前年比3.4%減の2712兆4千億円となった。マイナスは2年連続だ。特に、国・地方を合わせた一般政府の減り方が大きく、初めて負債が資産を48.8兆円上回った。
デフレや地価の下落で国全体の資産価値が減少した一方、政府部門は国債の大量発行で負債が増大した。国富は2000年代に入り一進一退で、ピークの90年の4分の3まで落ち込んでいる。
内訳を見ると、土地などの資産が前年比4.1%減の1208兆円だ。企業の設備や橋や建物などの公的資産など有形固定資産が6.2%減の1131兆円となった。一方、海外債券投資の拡大や円安の進行などを背景に、対外純資産は18.1%増の266兆円と過去最高となった。
国富:一般政府(国・地方)、企業、家計など国全体が保有する資産から負債を差し引いた指標。ある時点での国全体の純資産総額で、1年間で新たに生み出された価値である国民所得とは異なる。資産には、住宅や工場などのほか、土地や森林も含まれる。日本の国富の4割以上を土地が占めており、地価の影響を受けやすい。
[東南アジア経済]
(1)東南アジア、金融引き締め拡大(2月5日) ***
インドネシア中央銀行は、政策金利を0.25%引き上げ6.75%すると決め、即日実施した。タイ、ベトナムもすでに実施している。世界的な素材高が拍車をかける形で景気過熱・インフレ懸念が強まり、金融引き締めの動きが広がってきた。各国の政策は、インフレ回避と成長維持のバランスが焦点となっている。
インドネシアの利上げは2年4ヶ月ぶりで、物価高に対応を迫られた形だ。1月の消費者物価上昇率が前年同期比7.02%となり、目標の4〜6%を大きく超えたため利上げに踏み切った。インドネシアのシンクタンクの情報・開発研究センターのウマル会長は、「今回程度の利上げなら投資にも影響を与えない」としながらも「食糧価格が下がらず政策金利が7%を超えると、国内投資が冷え込む恐れがある」と指摘する。昨年12月から2回利上げしたタイや、昨年利上げしたベトナムでも同様の懸念がある。
しかし、足元の成長は堅調で、インドネシアでも経済の基礎的条件は強固な状態が続いているとの見方が一般的で、10年の実質GDP成長率は6%前後、11年もそれ以上の成長が見込まれる。