[中国経済]

(1)中国依存リスク分散(2月16日) ***

日本企業の間で、中国に依存してきた生産や商品調達を見直す動きが広がってきた。人件費が上昇し、労働集約型の衣料品や電子部品業界で賃金が低いベトナムなどで生産拠点を確保する企業が増えている。自動車業界などの旺盛な投資は続くが、日本の低価格消費を支えた中国の役割は曲がり角に立っている。

日本で販売する衣料品は、約9割が中国産だ。ユニクロの柳井社長は「今後は世界中で作り、世界中で売る体制にする」と話す。人民元の切り上げも予想され、中国生産の割合は下げざるを得ない。

電子部品のメイコーは、11年度の設備投資約120億円のうち、5割以上をベトナム工場(ハノイ)に振り向ける。2〜3年後には中国に代わり、ベトナムが最大の海外拠点になる見込みだ。日立製作所は、中国に130社強の関連会社をもち、6万人弱の従業員が働く。通貨切り上げなどさまざまな中国リスクにらみ、一部の産業機器ではタイ工場を増強することを検討中だ。中国を含めたアジア全域の工場の役割分担を変えつつある。

財務省によると、日本の10年の対中直接投資は、米国に次ぎ6278億円で2位だ。微減は続くが、依然比重は高い。ただ、国際協力銀行の国内製造業の海外展開に関するアンケート調査によると、長期的に有望な国では、インドが中国を上回りトップになった。中国の課題として、回答企業の64%が「労働コストの上昇」を挙げ、トップであった。


[EPA]

(1)日印EPA署名(2月17日) ***

日本とインドの両政府は、経済連携協定(EPA)に署名した。両国の貿易総額の94%分の品目の関税を10年以内に撤廃するほか、日本の小売業のインド市場への参入自由化も明記した。段階的な関税の引き下げや撤廃で、日本からの自動車部品や鉄鋼の輸出拡大が見込める(完成車は対象外)。日本は、インドの主な輸出品の後発医薬品の承認手続きを迅速化するなど、経済関係の拡大に取り組んでいる。