[中国経済]

(1)中国、不動産バブル懸念増す(8/31) ***

中国大手銀行の地方政府系投資会社向け融資が急増している。中国大陸系7行の6月末時点での残高は40兆円規模で、上位5行では昨年末比3割増である。各行とも融資全体の1割前後に上っており、すでに一部で返済や利払いが滞り始めている。不動産の開発権を担保としている融資も多く、バブル懸念が深刻化してきた。

運用商品の販売など手数料ビジネスの好調が目立ち、各行とも純利益は2ケタ増を確保している。最大手の中国工商銀行の純利益は、1096億元(1兆3200億円)と前年同期比29%増だった(2011年1〜6月期)。

これまで、地方政府系投資会社は、直接調達できない地方政府に代わり銀行などから融資を受け、インフラ整備や不動産開発を手がけてきた(その不透明な経営が問題となっている)。不動産価格が上昇していた局面では、新たな開発を加速し、中国の経済発展のけん引役の一つとなってきた。しかし、世界金融危機による景気刺激策のために、中央政府が地方政府にも資金負担を求めたため、投資会社経由の調達が急拡大し、投資会社の融資残高は中国のGDPの3割程度に達した。

不動産価格の下落で開発がストップすれば、担保価値が大きく損なわれることになる。投資会社の問題が顕在化するのは、融資の返済時期が集中する2〜3年後との指摘も出ている。