[新興国経済]

(1)BRICS、対先進国で結束(4/24) ***

ブラジル、ロシア、インド、中国に南アフリカを加え、BRICsからBRICSに看板を変えた5カ国が、国際政治・経済で影響力を強めようとしている。中国の海南島で開かれた第3回首脳会議では、リビア情勢や国際通貨制度改革で、先進国との違いを明確にする宣言を採択した。このように、BRICSは、新興国を束ねることで先進国をけん制する圧力グループ化してきた。

南アは昨年12月に正式参加が決まった。経済規模は小さいが、アフリカ諸国の取り込みへ、意味合いは大きい。ズマ大統領は「アフリカの声を反映させる」と意気込む。

首脳会議後に発表された「三亜宣言」には、先進国に対抗して国際的な枠組みの変革を狙おうとする文言があふれる。リビア情勢については、北大西洋条約機構(NATO)中心の武力行使と一線を画す平和的解決を強調した。南アなど50カ国以上が加盟するアフリカ連合(AU)による仲介案への支持も盛り込まれた。

国連改革では、常任理事国の中国とロシアは、他の3カ国が国連でより大きな役割を果たすことを支持すると明記した。

宣言は、米ドル中心の国際通貨制度の改革も強調した。5カ国間の取引で、自国通貨建ての貿易決済・融資を拡大することで合意した。

BRICSは各国でイデオロギーも主要産業も異なるが、結束を打ち出すのは、G20などでの発言力を高め、日米欧の影響力が低下する中で世界経済を動かしたいとの狙いがある。自国の発展にも結びつく。

次回の首脳会議は、来年インドで開催される。