[中国経済]

(1)中国のインフレ抑制策、人民元上昇が焦点(4/6) ***

中国人民銀行が、昨年10月以降で4回目の利上げを発表した。2ヶ月に一度の小刻みな利上げは、インフレへの当局の強い危機感を表す。ただ、物価高の起点が農産物から原油など国際商品の価格高騰に移るにつれ、利上げの効果を疑問視する声を増えている。当局が、輸入物価の下落につながる人民元相場の上昇加速に踏み出すかが焦点である。

市場では、3月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は、危険水域とされる5%を突破したとの予測が多い。農産品以外の工業製品は値上がり傾向が鮮明になっている。原油などの高騰や賃上げによる生産コストの上昇で、企業は利益確保のため製品の値上げを余儀なくされている。

中国のエコノミストの間で最近よく使われる輸入性インフレという言葉は、物価高の性格を表す。中東の混乱や東日本大震災の影響で原油などの価格が高騰し、それが中国の物価に影響してきたことを意味する。輸入性インフレは利上げで押さえ込めないとの見方が多く、国際要因で上昇を続ける原油価格を押し下げるのは困難である。

輸入性インフレを抑制する切り札と見られるのが、人民元高だ。元の上昇容認は輸入物価の下落を促すだけでなく、元売り・ドル買いの縮小で金余りの解消にもつながる。物価対策としては一石二鳥であり、中国人民銀行は元相場の上昇ペースを速めるタイミングを狙っている。

しかし、元高は輸出企業に打撃を与え、政治的なハードルが高く、元高の実現は不透明な部分が大きい。