[地価]

(1)基準地価、都心住宅地底打ちの兆し(9/22) ***

2010年の基準地価は、大都市圏の住宅地で下落率が減少し、一部で底打ち感も出始めた。08年以降の住宅価格の大幅な下落が需要を掘り起こし、経済政策による住宅ローンの優遇金利も下支えした。商業地も底なしの状態からは抜けつつある。だが、急激な円高と株安により、景気の先行き不安は高まっており、地価が反転するかは不透明だ。

都心では、1年前に比べ下落していても、半年前と比較すると上昇または横ばいの地点が増えている。不動産会社はマンション用地の取得に積極的になっており、高層マンションが立ち並ぶ東京湾岸の月島2丁目の基準地価は、前年比横ばい、半年前に比べ4.3%上昇した。買い手は、国内だけではない。中国の投資抑制策の影響もあり、中国の業者が日本のマンションや別荘に関心が向きつつある。米国のラサールインベストメントマネージメントが、4月に都内のオフィスビル3棟を取得するなど、外資系マネーも動き始めた。

商業地は都市部を中心に下落率が縮小しつつあるが、回復とは言いがたい。23区内にある大型優良ビルの空室率は、需給均衡ラインといわれる5%に低下し改善傾向にあるが、賃料引き下げが空室を埋めている格好だ。これは地価下落につながる。

有力企業の品川への移転もあり、品川付近の地価下落率は09年の15.8%から6.0%に縮小した。ただ、水準はなお低い。

地価の下落傾向は変わっていない。銀座では、欧米の高級ブランド店が撤退する一方、低価格のカジュアル系専門店が進出した。賃料の下げ圧力は強く、周辺の地価下落につながっている。全国商業地の下落率10位以内で4ヶ所が銀座で、前年比18%前後も下落した。

景気次第では、地価は下げ足を再び早める可能性がある。

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[企業部門]

(1)電機・通信、電子書籍で連携(9/25) **

電機、通信各社は、相次ぎ電子書籍型端末を実用化する。サムソン電子はNTTドコモと組み、年度内に日本市場に進出するほか、ソニーはKDDIと組んで参入を検討している。端末と回線、書籍など、コンテンツ配信の仕組みをセットにして、家電量販店や携帯電話ショップで販売する。ソフトバンクモバイルが扱うアイパッドに対抗し、競争激化で普及に弾みがつきそうだ。

サムソン電子が年度内にも発売する「ギャラクシータブ」は、アイパッドと同様の多機能端末だ。グーグルの基本ソフトのアンドロイドを搭載しており、書籍だけでなく専用サイトから様々なアプリケーションソフトもダウンロードして、パソコン並みの機能が利用できる。サムソンは、NTTドコモが大日本印刷と始める電子書籍の配信サービスと連動する計画で、携帯電話回線を通じて約10万のコンテンツを利用できる見通しだ。

ソニーは電子書籍型端末「リーダー」を年内に発売する予定だ。KDDIなどと開設するサイトを通じてコンテンツを配信する。東芝は、電子書籍にも使える新型の多機能端末を年度内に日本市場に投入する。組む通信会社は決まっていない。電子書籍端末では、ソフトバンクがアイパッドに携帯電話回線を搭載したモデルを販売し、月額制で雑誌などを配信するサービスを始めた。

米アマゾン・ドット・コムも電子書籍専用端末「キンドル」を年内にも日本で発売する予定だ。日本の電機メーカーも端末開発を急いでいた。内外各社の競争で、機能やコンテンツの充実が進むと見られる。

調査会社によると、電子書籍事業の市場規模は約600億円で、14年度には1300億円を超える見通しだ。